日々の暮らしも(2003年)


4月29日(火)全面肯定

 いわゆる11期4組東京チームで。虎ノ門で。ていうかどこも店しまってるし。ゴールデンウイークだから。ビジネス街だから。新橋の方まで歩くとなんとかやってた。
 私はあんまり頭よくない。謙遜ではなくよくない。というのはIQとか偏差値とかそういうのではなくて(そういうのも貧弱ではあるが)、大人性とでも呼ぼうか、社会人になってから重要になるスキル、それがない。が、やっぱり彼女はすごいと認識できるのよ。遠い世界ではなくて、すぐそこにいる彼女に感謝したいのよ。正しいだけではダメかも知れん。でも正しくなければ話にもならんのよ。意味ないのよ。無意味に意味を持たせようとするから、いびつなことになるのよ。彼女の「言ってやり。バカじゃないの」は、ほんとに正しい。卓越的に正しい(卓越的ってのは内在かつ超越という意味です)。正しさが安堵をくれる。もともとそうだし、これからもそうなんだけど、社会を否定して自分を肯定するしかないのよ。ていうかそれがふつうなんだ。


4月28日(月)まんまと騙されているのである

 で、ゲームボーイ買ってる大人がひとり。たためるやつ。ニンテンドー。逆転裁判をやっているのだが、矛盾点をつけ!ていうか明らかに間違ってるし。いつも探偵小説には騙されているオレでも騙されないぞそれは。


4月27日(日)目黒

 家具や雑貨を見る目的で目黒通りをひたすら南下。目黒駅から都立大学駅まで。暑い一日だった。帰り乗る電車を間違えたのか、いつの間にか日比谷線で気がついたら恵比寿である。東京の罠である。


4月26日(土)マザー

 マザーが出るらしいではないか。買うのかオレ。ゲームボーイ買うのか。もうたぶんゲームはやらんだろうなぁと思っていたのだ。こないだもメガテンをやりかけてやっぱできんと思った。ドラクエとファイファンはやるかもしれんけど、やらないかもしれん。そこでマザーの復活なのだ。あんまりストーリとか憶えてないけど、自転車に乗ったり、パンちぎりながら歩いたり、フライングマンの墓が増えたり、イチゴドウフ食べたり、ワープ失敗で黒焦げになったり、グーギとかいう悪の取り締まりだったり、あぁ音楽は鈴木慶一だった。1と2の境目がとても曖昧だ。模糊だ。高校生と大学生ぐらいには違うはずなのだが、今から考えたら似たようなもんか。10代後半なんて。20代前半なんて。


4月23日(水)給与所得者

 件の某が例によって職場の飲み会、虎ノ門的なあたりで。まぁそれはいいのだが終わってからよその係の係長がやってきて部長が君と飲みたいと。飲みたいっていわれても僕はオレンジジュースなんですけど。部長に連れられ新宿へ。2年前にやはり京都から出てきた坂下くん(先輩だが年下)とよその係の係長と。部長は典型的な酔っ払いで、初めて見たよ酔っ払い。ひたすらビール飲んで(あんなにビールばっかり飲んでうまいのだろうか)、同じことを繰り返す、オレは京都なんか嫌いなんだ、バカヤロウ、わかるだろう?先斗町なんだ、バカヤロウ。オレがいいたいのは、わかるだろう?これから女郎街いくから金貸してくれ、新宿だぞバカヤロウ。ていうか全く意味わからず。がんばればいいのかがんばっちゃいかんのかすらわからず。係長が時々通訳してくれたが、その通訳にすら、ちがうんだよバカヤロウ。逆なんだよ。お前全くわかってねぇなバカヤロウ。ていうか。


4月17日(木)筆まめ

 例によって同期(だけど7歳下)の蔵御津からがんばれよってハガキがきてアナログのくせに何なんだよこのレスポンスのよさはと思う。若いくせに何なんだよこのマメさはと思う。後輩ができたと書いてよこした。5年目だものなぁ。オレなんかずっと下っ端だよ。むしろこのままずっと下っ端でいたいがそうはいかんのであろう。そうはいかんあたりが潮時なのだろう。


4月16日(水)手際

 大江戸線の中井駅をあがってきて左に向かうところを右に出てみると一軒の小さな本屋があった。文庫を一冊買って、かけてもらうカバーの、カバーをかけるその手際のよさ。はさみをちょんちょんとふたつ入れて、折って折って折り返して、すばらしい。仕事だ。この驚きをしばらく忘れていたのだと思った。


4月10日(木)奇遇

 何らかが何らかで本社にて研修なのだったがまぁそれはさておき、着任に際して庶務手続等お世話になったお姉さんが、同じ大学同じ学部あまつさえ専攻まで同じことが判明して学年はひとつ僕の方が先輩であったが僕がバイトしていた古本屋の名前を出すとよく行きましたよそこは、と、確かにあの古本屋にはあの専攻のラインがあった。道理で、どこかでお見かけしたかなぁと思ってましたよ、とそれはたぶん嘘である。どこの大学にでもある専攻なのであるが今一つマイナで卒業してからは同じ専攻でしたって人に会ったことはなくってだからうれしい、うれしいんだけれどもどうにも内臓を探られる気のする、あぁごめんなさいそこには触れないでください、そこは病んでないのでいじらないでくださいというような類いの。てなわけで、ADSL復活につきまとめて更新の蜜柑糖でありました。イチゴカラーですが。モアですよ。どうなの12メガって。ブロードなの?バンドなの?


4月8日(火)東京タワー

 東京タワーは高い。なんちうても高い。ロンドンタワーよりも高い。エッフェルタワーよりも高い。そして京都タワーよりも高いのである。300メートル級である。そして私は東京タワーにのぼったことがない。ロンドンタワーもエッフェルタワーも、あまつさえ京都タワーにものぼったことがないのである。高いところは怖いので苦手だ。がしかし通天閣にはのぼったことがある、ということは特筆しておこう。


4月7日(月)大江戸線

 大江戸線は深い。なんちうても深い。リーデンブロック教授よりもある意味深い。164段、95段、278段。ホームへたどり着くまでに降りなければならない階段の数である。もちろん嘘である。


4月5日(土)西武新宿

 西武新宿駅は遠い。なんちうても遠い。路線検索で絶対に出てこない西武新宿駅から他線への乗り換え。というわけでいうなれば引越にまつわる買い物を。夜は上野にて集い。夜なのでよくわからず、でも上野。


4月1日(火)東京

 いつものように新幹線で、いつもとちがう片道切符。列車を降りるといつものように、荷物が肩に食い込んだ。丸ノ内線に乗って某駅で。某建物の前には報道カメラがたくさん並んでいた。それを尻目に行き先を指す。鞄を持ち直す。
 あちらこちら連れ回されて、かと思えば忘れられて放っておかれて、誰も彼もが忙しいようだった。居場所も落ち着きもないまま時間は過ぎ、もう帰ってもいいよ、と。明日は9時半までに来なさい。
 高田馬場から西武新宿線。某都立家政下車で歩く。商店街を抜け道路を渡ると「ここからは練馬区です」の看板があって、そこからは住宅地になる。すぐにわかる、のことば通り、宿舎はすぐにわかった。部屋番号を確かめる。隣の窓からはカレーの匂いが漂ってくる。鍵を鞄の底から探し出し、何もない部屋に足を踏み入れる。ひとりである。人のしばらく住んでいない空気が留まっている。狭い台所、傷だらけのふすま、こういう気持ちは何というのだったか。カーテンの幅の足りない部分に背広を引っかける。元栓を開けつまみをひねってガスを点火する。汗だけ流して、寝袋に潜り込む。どこかで子どもの声がする。サッシ窓の音がする。
 ♪とうきょうのまちにでてきました/あいかわらずわけのわからないこといってます

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