日々の暮らしも(2003年)


3月27日(木)夜風

 夜風にあたらねばとばかり、春上着を羽織って散歩に出る。郵便ポストまで。雨はもう上がっているが寒い。星が見える。星というのは何をもって光っているのか。標準で光っているというのが不思議だし素晴らしい。そういうふうにできている世界がありがたい。標準で不思議というのは僕が生まれた時点ですでに不思議として存在して、これからも不思議として存在し続けるという不思議の永続性。矛盾しているようだが世界はそういうふうにできている。不思議だなぁ。と、ぼんやり考えているからポストを通り過ぎた。こういう思考というか指向は数日や数週間おきに巡ってきて、何の結論も出さず生まず、ただ流れていくのみであるから、自動販売機械の前で立ち止まり、飲み物を選んでいるようなそぶりで実は何も選んではいない。それでもお茶の缶をもてあそびながら帰り道を帰る僕は不審なる人物なのであろう。年齢的に。


3月23日(日)物色

 何か金目のものはないかと押し入れを探る。ゲ−ムボ−イシルバが出てきた。カラ−じゃなくて小さいやつ。ニンロクが出てきた。ソフト数本とともに。コントロ−ラが3本しか出てこなかったのはつまり友だちが二人しかいなかったということだ。中古ゲ−ム屋にもっていくと全部で1万円にもなった。びっくり。マリオカ−トが3千円にもなった。ゲ−ムボ−イは売るの止めといた。パパジョンズでチ−ズケ−キを買って帰った。
 96年ごろ(推定)のデ−タでシレンをやる。白黒のシレンは見にくい。目が悪くなりそうだと文句を言いながら気がつけば一時間。危険すぎる。禁止法案を可決してほしい。


3月22日(土)白あんによる苺大福

 何年か何カ月か前に同居人さまがお作り遊ばされて、しかしそれがこしあんだった、黒かった、というので今回は白あんを使った苺大福。見目はごらんのとおり麗しく、美味。美味すぎる。6個食べた。罪悪感を覚える種類の幸せだ。白あんってのはなぜだか入手しにくく、インタ−ネットで売ってたのをキロ買いしたらしい。



3月18日(火)歓迎

 新しい職場で歓迎会を開いてもらう。御蔭通りの仏料理店。飲酒。ワイン?的な?頭痛が?痛い?パンと水ばかり飲んでいる。四国HM氏からのメ−ルに惑いつつ。惑えるうちが花なのよ。せいぜい惑いなさいよ。コ−ヒ−がおいしい。


3月14日(金)あとどれくらい

 月曜あたりからちょっと違う職場に通っている。東大路を南進している。見慣れた景色というと厚かましいが、まったく知らないわけではない。帰りはそれを北へと走る。自転車である。あと何回、何十回往復するのか知らないが、例えば御蔭通りを少し東へ入ってみたりすると微妙な、ほんとかウソかわからないような記憶を刺激され、郵便局でお金おろして、ハンバーグ?京都ってばどこいってもそんな具合にぐらぐらに。なんか、このへんで、おひる食べたよね。あれって、いつ、だっだっけ。


3月7日(金)勝ち目なし

 そういう予定ではなかったのだが送別会めいた雰囲気になりよくよく考えると送る側の人間は一名しかいなくて送られる側の人間も一名しかいなくて送りも送られもせぬ人間が数名。裏切者と呼ばれつつ何らかの調子に乗じ僕にしては珍しくあからさまな愛を迫ってみたりしたのだけれど、何いうてんの、出ていくくせにと、右へ左へ撫で切られる。うぅ、この手管、たおやかさ、苦痛を感じることなく倒れる僕ていうか拙者。結婚してほしい。が、困難多すぎ。


3月5日(水)キナコ

 きなこクッキーはきなこが余ったときの定番おやつ化しつつある。きなこクッキーきなこクッキーと連呼して、いつのまにかきのこクッキーと発言している自分に気づく。菌クッキーですか。一文字違いでえらい違いですな。ていうかやっぱり生えてくるんですか、菌が。さらにはきなこを漢字で書くと黄な粉であることも判明して、これはかなりの迫力です。迫ってきます。キムコクッキーとかどうですか。雪でしたね、雪でしたよ。


3月3日(月)人事

 所属長が電話を取り、怪しい挙動を見せ始めた。ふつうなら警察に通報するところだが、横目で様子を窺い合点する。人事だ。人事が僕らの街にもやってきたのだ。ほんとはもっと大きなお別れがあるはずだったのに、微妙な、そう、同じ市内に飛ばされるのは、なぜ。誰の所為。つま先でちょこんと蹴りはじかれて、場合が場合なら一ヶ月後には再びはじかれる。どこへ、なんてわからない。誰もそんなこと構いやしない。いつだってこんなふうに翻弄されて、ポール・ペニフェザーみたいだなぁと自分を笑う、あながち嫌いでもない状況なのである。


3月1日(土)泣きみそ

 飲み会的な梅田で阪急間に合わず新快速。改札を出ると迎えが待っていて、いやーごくろうごくろう、と軽く手を上げるも黙殺される。オレを待っていたのではなかった。オレも一緒に待つことにする。現れた。発見。お変わりないなぁ(1カ月半ほど)。この安定感は何だ。教官を目前にすると涙が出てくるので困る。気持ちが昂揚するとかそんなんではないし、好きとか嫌いとかではなかなかに説明できぬ感情だ。ぬかりなく隣の席を確保する。やっぱりすげえ、というかこの人と同じ職業なのだ。不思議だ。
 結婚するって話をきくと、自分も結婚したくなるから不思議だ。しかしもう一度結婚するのは困難であり、その困難を乗り越えてまでもう一度結婚したいとは思わないので、ひとの話をきいて幸せな気分になっていようと思う。

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