2002年7月日記


7月31日(水)夢が見れる機械が欲しい

 夢の話続き。どこやらのだれやらが夢には顕在夢と潜在夢とがあって、みるという局面においてはすでに検閲を通過しているので顕在夢だとか言うてはりますが(すみません乱暴にかいつまみました)、顕在夢だからといって油断しては語られた夢と顕在夢とはすでにして別のものでしょう。先日のミャンマーにしたっておそらくは新聞や何かでミャンマーという国名を目にしていただけだろうし転勤というのも8月2日付人事の内命があったって僕には関係ないけども素材として活用してみようてなわけで(6000円!アイボッド!)、むしろ重要なのは、会議室、無造作に会議室と書きましたが、いつも出てくる部屋、絶対に人には説明できない言語化不能の部屋、夢とか背中とかそういうことでしか認識できない部屋、何するかっていうと人の入れ物?人箱?エグイ意味じゃなくてね収容所とかそいういうんではなくってね、例えば「人の集合」ってのを考えたとき、そこには「人」しかないんだけど、数学的なやり方にはどうにもなじめず部屋というか境界線というか目に見えるものを浮かべてしまう貧相なセンス、つまりは「野菜={トマト、ナス、キウリ、ピーマン、カボチャ}」の「{}」を擬物体化したものだ、それが部屋だ。ことばってもどかしいわ、てなことを再確認するに過ぎないのでありました。夢ってのは。前島密が言文一致運動のさなか「ござる」の導入を目論んでいたと、ものの本で読み(有名な話ですか)、下手をすると標準語尾が「ござる」になっていたかもしれない。「ござる」で思考していたかもしれない。ことばって思考を緊縛しますか。夢を見たり、背中の辺りに赤茶色のもやもやを覚えるたびに、疑念を抱きます。いつもことばに思考を奪われる日記に抵抗して、ことばを思考の側に取り戻す試みを試みたのですが、やっぱり読点や句読点を打ち直してしまうあたりに敗北を、敗北感を認めざるを得ないのです。ことばはことばを組むうえで最適格の制約だと。夢を見る、っていうけど、ほんとに見てんのかな。ことばが思考を決定するとして、やっぱり「ござる」ってのはどうよ。ニンニン。


7月27日(土)夢はいつか、かならずかなう

 まさこさんの日記を読んで僕も夢の話など。パイプイスの並べられた広めの会議室に僕と同年代の男女が数十人、あるいは100人程度、座って待っている。もうすぐ辞令が下りるのだ。空調が働かず、ひどく蒸し暑い。首の辺りが気持ち悪くなって目が覚める。じっとり。コップ一杯水飲んで、シャツを着替えてもう一度眠る。会議室は騒然としている。どうやら辞令が下りたらしい。隣席の加藤くん(本名、夢の中では)がきいてくる、「どこやった」。僕は思い出そうとするも、なかなかうまくいかない。「えぇーっと確か東南アジアのどっか」。オレンジの手帳を開くと、ミミズののたくったような字で「ミヤンマー」。あぁそうだった。「ミャンマーだってさ、加藤くんは?」「僕はメキシコ、ていうかみんなメキシコらしいよ」。ミャンマーで記念メダルを売るのが仕事だという。ミャンマー転勤記念のメダルなのだという。希望者にはプラス6000円で名前を彫るという。え?それってオレが買うの?ていうかミャンマー?スーチーさん?


7月26日(金)漏洩する個人情報

 僕が年休の日、職場にかかってきた電話。「私は運送会社のものである。先日配送途中に積み荷を崩して困っていたところをそちらの職員さんに助けてもらった。若い男性で名前と連絡先をきいたのだがうっかりメモを無くしてしまった。お礼を言いたいのでせめて名前だけでも教えていただきたい」。若い男といえば僕ともう一人の先輩がぎりぎり該当。先輩は「知らん」というのでおそらく僕だろうということで、「その子はKくんという子で、明日は出勤しますので」と所属長ご丁寧に。…。次の日出勤した僕も「知らん」。ちょっと考えりゃわかるだろう。荷物積むのを手伝ったとして、名乗るか、ふつう。勤め先教えるか、ふつう。人を叱るのはいやだがさすがに叱った。無防備だよ。「第一僕は道で困っている人がいても、見て見ぬふりします。人助けなど絶対にしません」。案の定、僕宛にマツナガという女性から電話がかかってきて「なんとか企画と申しますがいまお時間よろしいでしょうか」。腹立ったので「あぁ先日僕がお手伝いしたそうで。積荷崩してたいへんだったそうで」と応えたら即座に切れた。この程度で済んでるからいいけどさ。何が不愉快ってそういうことさね住基ネット。


7月20日(土)鰻

 Mac OS X 10.3 は鰻(Unagi)として開発して欲しい。標準フォントは当然「Hamanako」。
 ドットマックはどないですかみなさん。harin@mac.com に未練がないではないですが、ファイル共有する相手がいるわけでなし、出張先からメールをチェック!すかさずチェック!てなわけでもなし、もういいです、これからは、harin.go.jp でいきます。え?政府機関?
 住基ネットの番号はベリベリのハガキで送られてくるらしい。国は普通郵便の送料しか補助しないらしい。セキュリティとか以前の問題として、DMと一緒に捨ててしまいそうでおそろしい。ていうか正直どういうメリットがあるのかわからないので、総務省のページを訪問してみた。「全国どこでも住民票の写しが取れる!」・・・。「引越の時、役所に行くのが一回で済む!」・・・。「共済年金、恩給の・・・」・・・。「多様なサービスや広域的なサービスが受けられる!」・・・。うーん・・・。「引越の時、荷造りしなくていい!」とか「年金が今すぐもらえる!」とかないの。「多様なサービス」っていわれてもなぁ。こういうようなことを「メリット」として掲げるセンスに疑問を憶える。ていうか意図がわからない。


7月13日(土)MJ

 豚なのに肉まんだとか、たぬき注文すると天かすが出てくるとか、ふつうの家にはたこ焼き器が無いとか、いろいろな伝説のある東日本であるが、今日マックピープルを読んでいて(さりげなく自慢)判明した。東の人はミックスジュース飲まんのか。まぁ大人はともかくとして子どもは喫茶店で何を飲むのか。オレが子どもの頃はメニュー見ながらむーっと悩んでたら、たいがいは「あんたはミックスジュースでええやろ」と自動決定されたものだ。喫茶店とはミックスジュースを飲むところだったのだ。じゃあ何か、東の子どもはオレンジジュースとかクリームソーダとかそういうことか。ていうか、飲んだことないってのは、軽い不幸だと思います。飲んでください。


7月11日(木)白い影

 定期健診のレントゲンで引っ掛かった、中京区の某T病院へ呼び出された。癌?とか、肺病とか?だったり?このかた20と余年健康そのものをつら抜いてきた僕としてはここらへんでカタッと、カタカタッと、はぁ、病気やだなぁ。
 「ほな、これもって地下いって、撮っといで」「あの、僕今年4回目なんですけどレントゲン」「妊娠してんのか?」「は?」「ほな、撮っといで」パシャ。「これ見てみ、なんか白いもんあるやろ」「はぁ、言われてみれば」「なんや思う?」「なんやといわれても」「頼りないなぁ、自分のことやで」「はぁ」「CTなぁ」「はぁ」「ついでやし撮っとくか?」「はぁ」「はっきりせんなぁ、自分のことやで、今日やったら安いで」「じゃあ」パシャ。「ほらな、いうたとおりや」「何がですか」「ずーっとつながっとるやろ、血管や」「血管ですか」「と、ワシは思うねんけどな、自分どない思う」「どないいわれても」「ワシかて専門ちゃうねんで」「違うんですか」「ちゃういうてるがな」「専門の先生は」「休みやがな」「あの、大丈夫なんでしょうか」「大丈夫か、いわれたら、大丈夫やとしかいえんがな」「大丈夫なんですね」「と、思う、としかいえんがな」・・・。どないやねん。
 とりあえず大丈夫っぽいのでよかった。あと半年です、とかいわれたらどうしようかと、真剣に考えたよ。死んだあとなんて関係ないさってずっと思ってたのに、いざ考えるのは身辺整理のことだったよ。整理すべき身辺なんて、ほんとはないんだけどね。


7月7日(日)ひっぱるよ

 エンケンのときにも似たことを考えたが、トリビュートアルバムを聴いて増すのはオリジナルの尋常でなさ加減で。暑い。謎が解かれない云々で思い出したのは、法月綸太郎の「死刑囚パズル」という短編で。ある死刑囚が死刑執行日の朝、何者かによって殺害される。放っておけば死ぬ人を、なぜ殺すのか。究極のWhy done it だと。こればっかりは読むのよそうかと思ったよ。結局読んだけどね。解かれたけどね。確かに「魅力的な謎」は重要なんだけども、その謎が魅力的であればあるほど、解かれることへの拒絶が強まる。読みたいけど読みたくない。笠井潔ちっともすすまぬ。寝る前に読もうとするからだろう。


7月3日(水)オレ日記

 仕事で、それも仕事以外のことで翻弄されるのは疲れるし、いやだ。ホワイトボードになぐってあるし。「訓練」って、オレのことやん。オレしかおらんやん。何でそういうこと無造作にメモ残すかな。記すかな。10月からうちの職場は減員だし、なんか非常に微妙なことになってるんですけど。減員の減がオレだとすると微妙に10月食い込んで、たぶんそういうのは具合悪いだろうから誰なんだ減は。その誰かが減であるとしてオレはどうなるのか。というわけでこればっかりはほんとうの、ひとに見せない日記のような文体で迫る、そういった演出でもって強襲する、何故に七月はこんなにも繁忙なのか、繁忙だろうか閑散だろうがオレは終わったら帰るぞ。断固帰宅するぞ。


7月2日(火)倫社と現国学びたい

 宿題もやらずに日記書いてる。岡村靖幸トリビュートアルバムが出ているのを知り帰り道、優里奈レコードとツタヤレコードに寄ってみたがなかった。くるりのどぉなっちゃってんだよってのはどうなんだ実際。ものすごく聴きたいし、ミステリ小説でいうところの、謎が解かれないということにたいする抗いがたい魅力、を感じたりもする。竹本健治の『匣の中の失楽』を読んでたときだ。どうするんだよ。どうするつもりなんだよ、って。直枝政広というひとは誰なんだと思ったら直枝政太郎なのだった。全然知らなかった。年々疎くなる。僕がカモリバーとかヨドリバーとかうれしがって使うのはつまりエドリバーなんだね。ゴメンゴメンゴメンゴメン。街のレコードに出るよりもネット買いの方が早いだろうから後でネット買いしよう。正直僕はラブタンバリンを聴いて気色悪、と思っていたよ。高一か高二かぐらいだったけど。


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