\n ここ最近は(200202)
日々の暮らしも(2002年)


2月28日(水)翻弄

 所属長の机上、見てしまった。某上部組織からの封筒、そして所属長の殴り書き「3月1日10時オープン」。人事か。これは人事なのか。これは人事に違いない。人事であるに違いない。いや、ちょっと待て、早いぞ。なぜ、この、微妙な、微妙に早い。4月1日の人事が今ごろ来るわけないじゃないか。それはそうと、誰の人事なのか。オレの人事なのか。オレの人事に違いない。オレのものに違いない。ダメだ。油断すると良いように良いように解釈してしまう。良いことなど何一つ起こらぬ、そんな気迫で生き抜きたいが、ダメだ。転勤だ。希望転勤だ。さようなら、クラスメイツ!さようなら、数学ティーチャー!僕は誰も知った人のない土地で、静かに暮らします。


2月27日(水)甘くないよ

 夫婦別姓が議論されている。民法オッケーが出たら、うちは別姓でいくだろう。いや、むしろ夫婦新姓だ、という話になった。新戸籍編製するわけだし苗字だって新しく、という理屈で。名前は親からもらうのだし、苗字ぐらいは自分らで、という心情で。侃侃諤諤の結果、うちは「八朔」でいくことになりました。ていうか八朔を食べておりましたので。


2月18日(月)恥ずかしいことばかりです

 のらりくらりと超特急、ノゾミという名の恐怖列車である。速すぎる。一時間も早く着いてしまった。さらに中央線という名の怪列車。駅に停らない怪列車。降りる駅もわからない。どうしろというのか。長野まで。オリンピックに沸き上がる長野まで。銅メダルより欲しいのは合格通知。面接官は六人。「志望動機は」「まだ死にたくありません」「いや、そうじゃなくてね。まぁいいか。質問を変えます。宝くじや遺産相続やなんかで3億円当たりました。どうですか」「うれしいです」「おめでとう。ええと、次はおめでたくないね。妻(恋人)の浮気が発覚しました。どうですか」「許しません」「具体的には」「おしおきです」「宇宙人が攻めてきました。戦いますか」「火星人ですか」「は?」「攻めてきたのは火星人ですか」「いや、どこでもいいんだけどね。じゃ火星人で」「そういう質問にはお答えできません」「あそう。職場で隣の席がバカなセクハラ上司です。殴りますか」「殴ります」「あなたの家の庭に・・・」「うちは賃貸アパートです」「仮の話でね。庭に木があります」「ありません」「あそう。最も影響を受けた本は」「『マーシャンズ・ゴー・ホーム』」「じゃあやっぱり戦うんな」「お答えできません」
 帰りは神保町経由で。ひとりではその辺以外歩けない。みやげは当然のように瓦せんべい、もしくは芋ようかん。本日の記述はフィクションですが、限りなくノンフィクションに近いフィクションで驚きです。ほんとは「百万円あったら何に使いますか。自己啓発で」と聞かれた。直前までオースターの『偶然の音楽』を読んでたので、「車を買って旅に出ます」という答えもあったが、自己啓発ということばに言い淀む。ほんとに自己啓発好きだね。二言目には自己啓発だ。なーんか変な宗教やセミナーみたいで引っ掛かるんだけどなぁ。死ぬまでやらない、自己啓発なぞ。


2月17日(日)続・面接キライ

 明日から東京出張なのです。普段はありえない遠距離出張です。出張っていって実は面接で、つくづく面接やら試験やら研修やらの好きな会社だと思う。いろいろ批判されてるって事情もあろうから、研修所泊の食費徴収はまぁいいとして、三日間も一体何をするのか。通知書には「個人面接・健康診断」としか書いてないし。8時間耐久?二万字インタビュー?とか?健康診断もこないだやったとこやし。バリウム飲んだり輪切り機械(名称不明)に入ったりすんのかなぁ。いきなり反復横飛び?踏み台昇降?とか?ってそれは体力測定か。


2月16日(土)FF10ネタバレ注意!

 今さらながらFF10クリアした。プリッツにはまって時間がかかったのだ。予想どおりベーベー泣いた。アーロンがキマリの胸をポンっと叩いて、異界へと去っていくシーンでフライング気味に泣いた。「ユウナ、送ってやれ」というのが決まり科白だったアーロンは最後に送られてゆくのだった。究極召喚でユウナが死ぬ、とか、主人公は夢の中の人だった、とか、シンはジェクトだとか、衝撃の事実はいろいろあったわけであるが、私にとっていちばんショックだったのは、アーロンはすでに死人だった、ってので。これはやはり私の実年齢が主人公たちよりもアーロンに近いということが大いに関係しているのであろう。あと、主人公は1000年前のザナルカンドに実在したことになっているが、いっそ完全に架空の存在ってことにしといたほうがよかったのではないか。異界へゆくのと消滅するのとではまったく次元が違う。消滅してしまった(はじめから存在しないのであるからこの表現も適切ではないが)ものについて、ユウナが「時々でいいから思い出してください」と演説する。涙三倍増である。主人公が海中で目覚める最終シーンも不要。存在しないものに向けてユウナが懸命に口笛を吹く。涙四倍増である。
 ゲームと映画とはまったく違う。FFシリーズを「ハリウッド的」と評して批判するのは当たらないだろう。と、思うのだがなぁ。どう違うのかはよくわからず。


2月11日(月)名前

 一乗寺下リ松のバス停から東へ上った住宅街にぽつねんとあるケーキ屋さん、チョコレート生地にオレンジのクリームがはさまってて美味、幸せ。さっぱりしててしつこくないし。私がそこいらに勤めてた3年ほど前にはなかった。あたらしくできたのかなぁ。若いのに堅実な仕事ぶりの職人さん。こういうお店が不況やら時流やらに負けず、いつまでも着実に残ってほしいと思った。
 で、例によって名前が憶えられぬ。えぇ、トリですから。


2月10日(日)アイコン

 Icongrapher(定番?)買った。簡単に貼り付いて感動する。感動に乗じてオーエステン用の作るぞ!と意気込むも煮詰まる。いいよ、オレは・・・、32×32で・・・。オーエステンデフォルトのあのハードディスクは何なのさ!文句ばっかり言うてスマンが、くどいよアレは。ゴミ箱もくどいよ。なにもかもがくどいよ。なんでウインドウ透けるのさ。透けなくていいよ。標準のメーラー、捨てようとしたら叱られた。いらんねんて。ぜんぜんつこてへんねんて。どうせオレひとりねんし、困んのオレだけねんし、好きにさして、こんなことぐらい。ウガーですよほんとに。なれねばならないと、わかってはいるのだけれど。悪い人ではないと、わかってはいるのだけれど。どうしても愛せないのよー。ってまぁ最大の理由はうちのアイマックさんでは動作にぶい、ってことなんだろうけどね。とかなんとか、受容しつつある私。迎合しつつある私。
 お昼から街に出る。道ゆく女の子たちがかわいいので買い物は楽しい。誕生日に春物ジャケツを買ってもらう。ほんとうの誕生日までは封印。ムーンライダーズが知らぬ間に出ていた(去年の暮れ)。3年ぶりだそうだがそんなにもなるのか。ヘイヘイウイアザファンキーズと歌っておられたよ。


2月7日(木)1978年のニセ記憶

 こんなにも冴えぬ日々を記すのが日記である。面接という名の急行列車にガタリ、そしてゴトリ、緑黄緑の車体が通勤の憂鬱を醸すこれはまさしく京阪電車、途中下車するは香里園。私はその昔京阪沿線に住んでおり、母方の祖父に連れられ、何処へ行ったものだか香里園の駅でよく降りた。あれは本当に何処へ行ったのだろう。祖父はパチンコを打ちに出たが、それか。1978年といえば私4歳、祖父51歳、「コオリエンいこか」という音のみが記憶されている。それからイギリス近衛兵(?)の壁画。24年も前の話だ。冗談みたいに若いねぇ。冗談かもしれないぞ。母方の祖父母はその後四度引っ越し、現在は長崎にて息災だという。二年ほど会うてない。
 つまりはそのニセ記憶のみが香里園で、縁もゆかりもない。最早その程度の縁やゆかりしか京阪電車には残されていないのであった。だから、降りるしかなかった香里園。「成田山不動尊前〜」ってまさかな。お参りってこたあないわな。駅周辺を小一時間ばかりうろうろしてみたが、まったくない。断片の風景すら残っていない。ニセ記憶の要求は満たされず、厚い外套は背広に重く。4歳だ、仕方なかろう。むしろオレは何をしているのか。何を期待して香里園なのか。意味というか目的というか先行きそのものが見失われている。面接は予告どおりさっぱりであり、面接官の質問が理解できない。かろうじて聞き取れた「〜に関して何か取り組んでますか」の部分を妄想解釈。「景気対策」に関するオレの取り組みを「構造なくして改革なし」の一言で断じた。断じきった。が、面接官たちはアンチ改革派だったらしく途端に不機嫌になった。「ノー、コーゾー、ノー、カイカク」つぶやく面接官を尻目にオレは面接室を後にした。次の面接者が緊張のまなざしでオレを見送る。一分後に入室したまえ。


2月6日(水)面接キライ

 明日は面接であり今日は年休である。次の日たいへんやねんし休んどきー、と無理から年休である。そんな職場があるだろうか。さっぱり野郎で迎えようと思い散髪をすませた。さわやかだ。おそろしいほどさわやかだ。このままでは受かってしまうだろう。余裕で受かってしまうだろう。面接せぬうちから受かってしまいそうだ。つまりは面接などあってもなくても同じことであり、同じなのだからやめよう。面接はやめておこう。よって明日も休みだ。連休だ。一日中部屋にこもろう。面接など中止なのだから。一日中部屋でじっとしていよう。動かないでいよう。
 というわけにはいかないのが明日の面接であり、そのための今日の散髪であり、去年は落ちたのですよ、同じ面接で。今年は何が何でも受からんと。受からんことには向こう一、二年は暗闇であり、うかったれば向こう一、二年は薄暗闇であり、どっちにしろ明るい未来など待ち受けてはいないのか。もはや人生更迭なのか。

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