御免なさい

無印で壁棚を購入すべく、ひとりで三条方面へ出掛けた。人出があるのは祇園祭だな。この季節の京都は本当に危ない。辻から辻へと鉾が駆け巡っているからだ。一方通行などお構いなし。曲がり角では曲がりきれずに門柱電柱大黒柱を破壊して、通行人や自転車や犬や猫やお稚児さんを巻き込みながらコンチキチン、コンチキチンと鉾は走る。鉾と鉾とが出会すと合体が発生する。合体すると速度は落ちるのだが、当然のように大きくなり、道幅よりも広くなり、通りに面す家の軒を破壊しながら進むことになる。合体に合体を繰り返した後、最終的にひとつの巨大な、山のような鉾が完成する。祭のクライマックス、山鉾巡行だ。全長2000メートルの鉾が、時速2キロのスピードで、都大路を練り歩く。後にはぺんぺん草も生えない。

ご存知ない方のために補足しておきますと、鉾というのは蒲鉾のことです。

で、無印のついでにジュンクによるわけだが、久しぶりのリアル書店で目に入ったのは現代思想の7月号、特集ポスト・フォーディズムで、「わたしたちはなぜ働いてしまうのか」と。ソックスの場所ってあぁ、今オレはまさにソックスの場所なんだよ。あぁぁと思わず声に出してしまったよ。それでも結局現代思想は棚に戻し、これもどうしようもなく目に付いてきた『1000の小説とバックベアード』を手に取り、またしてもあぁぁと同じなのか違うのか分からない心情で以て吐き出して、吐き出してからレジを窺い周囲を窺い、そしてもう一度レジを窺って財布の中身を確認したのですよ。

妻様に御免なさいといいたい。許してほしいのではなくただただ知ってもらいたい。私は未だにこんな現在位置から動かずにいるのですよ。そんなことはとっくに知っているのかも知れないのですが。

ロフトに寄って、ファイルボックスを買っている。茶色か白かどちらかを買う予定だったのだが、どちらだかわからなくなってどちらも買っている。御免なさい以外にも言えることはあるけれど、御免なさいは便利なことばだ。