アイホンという名のジレンマ

なぜ私が温いコーヒーと生温いメロンパンを食みながら、700Mhzの第三世代iBook と 9.2 の旧式 Mac OS とすでに終了した4.7のネナビを開始して除去しがたい違和感を漂わせていたのかという、ファーストフードでスローネッターだったのかという、面白くもないし参考にもならない話を書くのかという。

これはたぶんアップルがアイホンを出すと決まった時点からアイホンに内包されていた問題であり、類似の議論についてはあちこちでさんざんに噴出したでしょうから、今さら私が付け加えることなど何一つないのかもしれませんが書く。整理します。屈託します。

携帯電話を持たねばならない、というのがまず要請としてあります。外部ではなくもちろん内部からの要請です。一度持ってしまった以上、手放すのにはそれなりのストレスが伴います。持つことのストレスが持たないことのストレスを上回るまでは、持ち続けなければなりません。

可能であれば持ちたくない、と私は思っています。なぜならお金がかかるからです。携帯電話を持つことにより得られる満足はまったくありません。持たないことによるストレスがあるために、持っているのです。お金を払っているのです。税金のようなものです。脱税して捕まるのはいやだから払うのです。義務を履行することによる快など微塵もありません。

アイホンは携帯電話かという問いがあります。アイホンは携帯電話です。携帯電話というのはすなわち持ち運び可能な音声通話装置でありますから、アイホンは断然携帯電話です。しかし、ソフトバンクつながらねー、とか、着信拒否機能ないなんてなんてありえねー、とかいうような不満を持つ人は異議を唱えるでしょう。そのとおりです。アイホンは携帯電話ではないともいえます。少なくとも携帯電話としては物足りない、ということにはなりましょう。私はといえば、つながらなくても構わないし(持ってないから連絡が取れない、というのは問題ですが、圏外にいるから連絡が取れない、は全く問題ありません。事象としては同じですが、意味は全く異なります)、特段着信拒否せねばならない相手もないし(かかってくる電話すべて着信拒否)、要は「一定の条件の元で音声通話が可能」であればよいのです。アイホンに搭載されているべき必要最小限の機能です。写真が撮れようが音楽が聴けようが動画が見れようがそれはおまけに過ぎません。

ところが、アイホンはアップル製です。アップル製であるがゆえに、所持することに喜びが、発生してしまうのです。これがジレンマの根源です。アイホンもはや、カメラつき携帯でもアイポッドでもインターネット端末でもありません。アップルがつくった小さいマッキントッシュなのですよ。

つまりここで、持たねばならないという要請と持ちたいという欲望が、合致してしまうのです。お金?払います払いますよ少しぐらい高くても。それが、月額8千数百円です。ホワイトプラン導入以降、千円ほどしか払っていなかった身としては破格です。携帯に8千円など、正気の沙汰ではありません。でも、アップルだ、仕方ねぇなぁ、そのかわり、みっしり使わせてもらうよ。メールもネットも湯水のように漏れ流すよ。サンフランシスコの天気もグーグルの株価も、100回ぐらいチェックしちゃうよ。アプリ(無料)もダウンしまくるよ。毎日通る道だけど毎日現在位置確認しちゃうよ。カレンダーの予定(祝日とか)同期するよ連絡先もブックマークも共有しまくるよ。電話は1ミリもかけないけどな。

その代えがたい満足に、惜しみなく対価を払うのです。払うつもりだったのです。

ところがですよ、ソフトバンクの登場ですよ。料金プラン改定、と。あんまり使わない人は、あんまり払わなくていいよ、と。

一瞬喜びました。値下げだわー。でも。値下げの恩恵に与ろうとすると、相応に抑制的であらねばならないことに気がつきました。いや、気がついていたことに気がつかないふりをしていたことに気がつきました。極力、3G接続は控えねばなりません。ネットつなげない。メールアイマッププッシュしない。天気も株価も知らないしアプリのダウンロードボタンは押さない。迷子にはならない。モバイルミーは解約。電話はかけないしかかってこない!

これで約半額になります。でも、満足はおそらく半分以下です。いいのか。不満足を甘受するのなら、そこらへんの電話機使って月千円でいけるのです。アップル持ってる意味がわからない。

ソフトバンクとしては、もうちょっと一般層にも訴求したいということでしょう。たぶん私もその一般層です。当初からこの料金プランだったら、私は迷わず発売日に並んだでしょう(実際に並んだのは二日後でした。つまりアイホン所持の代償を前に、二日間躊躇ったわけです)。いいのです。ユーザが増えることによるメリットがあるのでしょう。むしろがんがんやってほしい。ドコモとかエーユーとかぶっつぶす勢いでやってほしい。

だけどその一方でこのような屈託が。「携帯電話」としてちまちま使うのか、「アップルマシン」としてがつがつ使うのかという選択を迫られてしまうのです。

で、ですね。回避しようと思うのです。料金を低廉に抑えてなおかつアイホンを使い倒す方法を考えるわけです。アイホンの設定を睨みます。ありました。Wi-Fiです。Wi-Fiとは何か、無線LANです。無銭LANとか無洗LANとかではありません。無線っちうことは電波です。3Gとは違う電波がビビビッと出てネットワークに参加できるのです。不思議ですね。

問題は電波がどこから来てどこへ往くのか、です。そこら中に充ち満ちているのだったらそもそも問題にはなりません。そこら中に充ち満ちていないがゆえに悩ましいのです。いや、実は、かなりそこいら電波まみれなのです。町を歩けばWi-Fiつなぎますかダイアログがしょっちゅう表示されます。でもそれらにつなぐにはパスワードが必要で、私は知りませんパスワードを。もし仮に知っていても、勝手につないだらたぶん罪です。犯罪です。それでも世にはつないでも構わない無線LANがあるはずです。それを探すのです。ありました。公衆無線LANというものです。誰でも無線LAN、オッケーですよという意味です。さらに公衆無線LANでググールのです。ありましたのです。格安インターネットが。

これ。淀橋カメラのこれ。なんと月額380円でつながり放題!全国6000箇所! 380÷6000÷30=0.002111….!? 1日1箇所あたり0.002円!?格安!格安過ぎる!!格安にもほどってもんがあるマクド?ドナルド?

で、マクドに行くわけですよ。アイホンだけじゃ不安なので、アイブックも持っていくのですよ。マクドなんてもう何年も入ったことないし、味噌煮込バーガー(味噌多め)を注文する気満々だったのですが、つい気後れしてしまって、メロンパンにしておくのですよ(他にもチョコパンとかあんパンとかあった)。

久しぶりにOS 9 立ち上げてみたりして(10.4 より断然早いので)、いらん機能拡張とかアイイーとか全部捨てた。アイディスクにはゴリアスというソフトで進入することができた。全然使えるじゃんOS 9。miも普通に立ち上がるじゃん。イージーブリッジ現役バリバリじゃん。バリバリカタカタじゃん、とここまで書いたのが、先週。ずいぶんと前の話。テキストをアイディスクに保存して、終わった。1週間いろいろなことがあって、このテキストのことは忘れていたのだけれど今日になって思い出して、アイディスクからダウンロードした。アイホンはやっぱりおもしろいです。アイホン向けサイトもこっそり作って、人知れず閲覧したいと思います。というか正直よくわからないのです。歯の裏側にへばりついたメロンパンと闘いながらやってることはインターネットだし、それなら家でやればいいじゃん。どこでやりたいかっていうと職場なのです。職場で仕事さぼりながらネサフィしたいんだけどWi-Fiどころかテレホーダイすらないし、わざわざマクドまで出張って味噌煮込バーガーの匂いをかぎながら、そうか。マクドに就職すればいいのか。