鶴千羽

2004年12月18日

上司が入院したので千羽鶴を折っている。折り方など忘れてしまっていたが、人が折っているのをみてすぐに思い出し、あとは指が勝手に動いた。身体が憶えていたのである。

日本人のほとんどは鶴を折ることが出来るのではないか。これはすごいことなのではないか。また、意外な盲点なのではないか。日本に紛れたスパイを見分けるのに、鶴を折らせてみるというのはどうか。逆に言うと、鶴が折れない人はもぐりと見做される危険があるのではないか。

ゴーイング蜜柑はお役立ちサイトなので、鶴を忘れた日本人や日本潜伏中のスパイたちのために、美しい鶴の簡単な折り方を伝授してみたいと思う。これを機にマスターしていただきたし。

  1. 正方形の紙片を用意し、二辺は机と平行に、残りの二辺は垂直になるように置く(以下、上辺を「辺甲」、下辺を「辺乙」、左辺を「辺丙」、右辺を「辺丁」とする。)。
  2. 左上部の頂点(以下、「点甲」という。)に、右上部の頂点(以下、「点乙」という。)と左下部の頂点(以下、「点丙」という。)の対角線(以下、「対角線甲」という。)を軸とした線対称上の点(以下、「点丁」という。)を重ね合わせる。このとき対角線甲には厳しい折り目を付けておく。後で利いてくる。
  3. 点乙と点丙を重ねる。このとき点甲と点丁の対角線(以下、「対角線乙」という。)には決して消えることのない折り目を付けておく。
  4. 点丙を机に対し垂直に立て、机に向けて圧迫する。点丙が机に密着するまで、圧力を加えつづける(点丙が机に密着した時点で新たに発生する面を以下、「面甲」という。)。すべてが思い通りにならなくても。
  5. 面甲を机上面に面するように本体を裏返す。本製作工程において最も動的な作業である。大見え切れ。
  6. 点乙を机に対し垂直に立て、机に向けて圧迫する。点乙が机に密着するまで、圧力を加えつづける(点乙が机に密着した時点で新たに発生する面を以下、「面乙」という。)。記憶に刻まれる。
  7. 対角線乙を頂点とする二等辺三角形の底辺に面甲に内接する円の中心点を重ねる。同時に対角線乙は三次元を離脱する。
  8. 対角線甲から点丙に向けて垂線を下ろし、垂線に沿ってハサミを入れる。落下した面乙、点丁及び辺丙を回収する。この時点で辺丙は三次元を離脱している。
  9. 点甲、点乙、点丙及び点丁を結んで平行四辺形を描きたい。点乙及び点丙が三次元を離脱する。点丙は二度目の離脱である。
  10. 以下、すべての不連続面が三次元を離脱するまで、7、8及び9の手順を繰り返す。落下した不連続面については回収しておくのが望ましい。
  11. 土砂降りの雨の中、傘もささずに飛び出す。折りかけた鶴は全部水たまりに投げ捨てた。もう、何もかもがどうでもよかった。
  12. 完成。

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